住宅用システム

設置までの流れ①自己所有の場合

太陽光発電システムの導入計画から運転開始までの大きな流れは次のようになります。

太陽光発電システムを設置するために知っておきたいチェックポイントを、段階ごとにまとめました。

住宅用太陽光発電システム システム構成例

※住宅用太陽光発電システムの廃棄を検討している方は下記をご参考ください。

チェックポイント1 計画

①太陽光発電システムについて知る

太陽光発電システムについて、一般的な知識を身に付けましょう。実際に設置業者等に相談する時も、ある程度の情報を知っていたほうが話はスムーズに進みます。

  • インターネットで太陽電池モジュールメーカーや設置業者(販売店、施工業者)のホームページを見る

  • 太陽光発電の展示会やイベントに参加する

  • 複数のメーカーの商品カタログを手に入れ、見比べる

  • すでに設置した人の話を聞く

②自宅の屋根について知る

太陽電池モジュールを設置する屋根について調べましょう。屋根の面積や形状、方位や傾斜などは発電量に影響します。自宅の設計図面があれば、用意しておくといいでしょう。さらに、周りに高層建築物や樹木など太陽光を遮るものがないか見ておきます。

③今使っている電気料金について知る

毎月どのくらい電気料金を支払っているか、どのくらい電気を使っているか調べてみましょう。通常、一般家庭での電気契約は、昼間も夜間も電力料金が同じ「従量電灯」になっています。これを、昼間と夜間の料金が異なる「時間帯別電灯」に変更すると、電気料金を節約できる場合があります。

「時間帯別電灯」は、昼間は従量電灯料金単価より割高、夜間は割安に設定されているので、割高の昼間は太陽光発電でまかない、夜間は割安の料金で電力を買うことができるためです。

④発電量をシミュレーションする

太陽光を受けて発電する太陽光発電システムは、日射量がポイント。お住まいの地域の日射量を調べ、どのぐらい発電量が期待できるのか、また電気代はどのぐらい節約できるのか、太陽電池モジュールメーカーのホームページに掲載されている発電量シミュレーション診断のページを利用してシミュレーションしてみましょう。

⑤資金について検討する

太陽光発電システムの設置には、さまざまな支援策が用意されています。

  • 地方自治体による支援(助成、融資)
    お住まいの地方自治体に補助制度があるかどうか、また受付期間や申請方法などについて、問い合わせてみましょう。

  • 住宅金融支援機構の融資
    新築時に太陽光発電システムを設置する場合、割増融資を受けられる場合があります。

⑥調査・見積りを依頼する

設置業者に、太陽光発電システムの設置が可能か調査と見積りを依頼します。

設置業者は、日射量の予測や屋根の方位、形状(切妻、寄せ棟、片流れ、入母屋、陸屋根)、屋根材(瓦、スレート、金属板瓦棒)などを元に見積りを作成します。

この時、自宅の設計図面や検針票などを準備しておくとよいでしょう。

また、複数の業者に見積を依頼して、比較検討することをおすすめします。

⑦設置業者を比較する

設置業者を比較するポイントとしては、「初期投資の費用」「kWhあたりの発電単価」「保証」「形状」などがあります。総合的に判断しましょう。

  • 初期投資の費用

    太陽光発電システムの設置費用です。蓄電池なども併設する場合はそれも含めて確認しましょう。
  • kWあたりの発電単価

    太陽電池モジュール1kWあたりの価格を比較。安いほうが導入費用を抑えられます。
  • 保証

    各設置業者、各太陽電池モジュールメーカーへお問い合わせ下さい。
  • 形状

    自宅の屋根の形状に合った太陽電池モジュールがあるかをチェック。例えば、寄せ棟の場合は、三角形や台形の太陽電池モジュールがあると、出力が多く取れるだけでなく、見た目もきれいに仕上がります。
参考:蓄電池を併設する

太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、太陽光発電システムが発電しない夜間や停電時、雨天など、天気などの影響を受けずに、蓄電池にためた電気を利用することができます。また、蓄電池にためた電気を活用することで、さらに電気代を削減できます。

チェックポイント2 設置決定

①販売業者との商談時のポイント

販売業者との商談
  • 一方的な説明でなく、こちらの要望や条件を聞こうとしているか?

  • 設置目的を理解し、「我が家に“最適”」を提案しようとしているか?

  • メリットだけでなくデメリットも説明してくれるか?

  • 現地調査をしっかりしてくれるか?

  • 制度や補助金等の最新情報を理解し、わかりやすく説明してくれるか?

  • 経済産業局や電力会社との手続きについて詳しく説明してくれるか?

  • 有償/無償の保証制度について説明してくれるか?

  • 落雪事故や反射光問題への対応についても説明してくれるか?

  • 保守点検及び廃棄の際の取り扱いについて説明してくれるか?

  • 具体的な施工方法や施工上の懸念点の有無についても説明できるか?

  • 雨漏り等の設置後のトラブルに対応する保証制度があるか?

② 見積もり・契約時のポイント

  • 見積りは“一式”でなく、内訳(機器・工事内容毎)が記載されているか?

  • 見積書には日付、会社名、担当者名が記載され、捺印がされているか?

  • 現地調査を実施した上で作成した設計図面(配置図、配線図)が添付されているか?

  • 経済性シミュレーション資料が提出されているか?

  • 契約書・保証書を見せながら説明してくれるか?

  • 割賦販売の内容について説明してくれるか?

  • クーリング・オフ制度の説明をしてくれるか?

  • 契約をしつこく迫ったり、急がせたりしていないか?

  • メーカー認定の「施工ID」を取得しているか?

  • 工事の際のトラブルに対応する保険に加入しているか?

③後悔しないために! トラブル回避を心掛けるコト

甘い言葉には充分に注意を!しつこいセールスや強引な勧誘はキッパリ拒否!

  • 今日だけの特別価格!今契約しないと損しますよ!

  • モニター制度を利用できるあなただけの特別価格!

  • 必ず●●●kWh発電します!

  • 売電で毎月●万円が確実に入ります!

  • 今お支払いの電気代でローンは必ず払えます!

  • メンテナンスフリーで半永久的に使えます!

  • こんなに説明したのに契約してくれないと困ります!

  • 今日は契約頂くまで帰れません!

必ず複数の販売業者から見積りをもらう!

正しい判断をするためにも、複数の販売業者に見積りを依頼することをお勧めします。

他社より極端に安い見積りには、“落とし穴”があるかもしれません。

口約束でなく、必ず書面で確認し保管する!

約束事項や説明された内容は必ず書面で残しましょう。

クーリング・オフ制度を利用する際にも、領収書や契約書があれば安心です。

こんなトラブルも!

反射光問題

ご自宅の屋根に取り付けた太陽電池モジュールからの反射光が眩しいというクレームが、近隣住宅から寄せられることがあります。思わぬトラブルを避けるためには、事前の確認が大切です。

落雪事故

太陽電池モジュールに積もった雪は滑り落ちやすくなっています。落雪により周囲の器物や人身に損傷を与える恐れがある場合は、雪止めの処置等の適切な対策が必要になります

チェックポイント3 設置

太陽光発電システムを設置するための工事を行います。

工事には大きく分けると太陽電池モジュールなどの機器を取り付ける機器設置工事と取り付けた機器の電気配線を行う電気配線工事があります。

①施工の事例

イラスト1

屋根に太陽電池モジュールを設置するための架台を取り付けます。

イラスト2

架台の上に太陽電池モジュールを取り付けます。

イラスト3

設置完了。

イラスト4

太陽電池モジュールで発電した直流の電気を、ご家庭で使える交流の電気に変換する「パワーコンディショナ」を取り付けます。

イラスト5

発電量や環境貢献効果を表示する「モニター」を取り付けます。

イラスト6

電力量計を取り付けます。余った電力を売るための「売電用」と電力会社から購入した電力を計る「買電用」の2種類あります。

このほか、太陽電池モジュール / 接続箱 / パワーコンディショナ / 分電盤への電気配線工事を行います。

②竣工検査と引き渡し

竣工検査が行われ、機器の取り扱いについて説明を受けます。

チェックポイント4 連系

余った電力を電力会社へ売り、不足した電力を電力会社から買えるよう、電力会社と「電力受給契約」を行います。設置業者の立ち会いのもと、太陽光発電システムが正常に運転しているか確認します(連系立会い)。

連系

チェックポイント5 運転開始

電力会社との契約が終わったら、いよいよあなたの自宅が発電所になります。発電量モニターで、我が家の太陽光発電システムがどれぐらい発電しているのか見てみましょう。

運転開始

①保証書を受け取る

設置業者からメーカー発行の保証書を受け取ります。大切に保管して下さい。

メーカーの保証書以外に、設置業者が独自の保証書を発行することもあります

②正常に動いているか定期的に確認する

モニターで発電量をチェックするようにしましょう。

また、一部モニターに関しては発電量を自動で記録しているものがあります。「発電量が少なくなっていた」「売電量がゼロになっていた」などのトラブルの兆候を見逃さないためにも、毎月の発電量を確認しておくといいですね。

③故障かなと思ったら

お手元の取扱説明書(なければ各メーカーのホームページから入手)に記載されているセルフチェックを実施してください。それでもトラブルが解消しない場合には、販売店もしくはメーカーにご相談ください。