Q1.発電した電気を売ることができますか?
- A.
- 10kW未満の太陽光発電設備の場合、昼間に発電した電気は先ず家庭で使用し、余った電気は電力会社に売ることができます(余剰売電)。
夜間や発電した電気が少ない場合は、電力会社から足らない分の電気を買って使用します(買電)。
電気の売り・買いは自動的に行われます。(※)
※電気を売り買いするには、電力会社との契約が別途必要です。

- 10kW以上の設備では、発電した電気の全てを売ることも可能です(全量売電)。その場合、売電と買電では異なる配線とする必要があります。
参考資料:なっとく!再生可能エネルギー 買取価格・期間等
Q2.曇りや雨の日に電気は使えますか?
- A.
- 太陽光発電は、曇りや雨の日は発電量が少なくなりますが、電気が使えなくなることはありません。10kW未満の太陽光発電システムの場合、不足分の電気は電力会社から買って、太陽光発電からの電力と一緒にして使います。

- 全量売電の場合は、発電した電力の全量を売電するので、天候による発電量の差が電気の使用に影響することはありません。自分で使用する電気は、すべて電力会社から購入します。
Q3. 太陽光発電により、家庭で使用する電気を全部まかなえますか?
- A.
- 太陽光発電は夜間発電しないので、全てをまかなうことはできません。ただし、電力量の収支のみに注目すれば、家庭で消費する電力量のうちどれくらいを発電しているのかを把握することはできます。
設置容量1kWあたりのシステム年間発電量を約1,000kWh(※1)とし、住宅屋根に4kWの発電設備を設置した場合、4,000kWh程度の年間発電量が期待できます。一般家庭の平均年間電力消費量を5,156kWh(※2)とすれば、一年間に必要な電力量の78%程度をまかなえることになります。
※1 太陽電池を水平に対して30度傾け、真南に向けて設置した場合の計算例。地域や太陽電池の方位、傾斜角度により発電量が変わります。
※2 太陽光発電協会 表示ガイドライン(平成27年度)より
Q4.kW(キロワット)とkWh(キロワットアワー)の違いは何ですか?
- A.
- kWは電力の単位であり、kWhは電力量の単位です。1kWの電力を1時間使用した場合の電力量が1kWhです。
例えば、4kWの発電を5時間続けた場合、4×5=20kWhの発電電力量となります。
Q5. どんなところに設置できますか?
- A.
- 建物の屋根や屋上、壁面、あるいは遊休地など、太陽の光が当たるところなら基本的にどこでも発電は可能です。太陽電池はその規模に関係なく発電効率がほぼ一定なので、発電規模を自由に選ぶことができます。ただし、建物の構造や強度、土地の地目によっては設置できない場合がありますので、販売店や施工業者などにご相談下さい。
Q6. どんな機器を設置するのですか?
- A.
- 「太陽電池モジュール」を取り付けるための「架台」、場合によっては架台を設置するための「基礎」を設置します。太陽電池モジュールで発電した直流電力を交流電力に変換する「パワーコンディショナ」を屋内あるいは屋外の雨露が直接かからない壁面に取り付けます。また、太陽電池モジュールからの電力を集めるための「集電箱」を取り付ける場合もあります。

Q7. 太陽光発電システムの設置に必要な面積と重量はどれくらいですか?
- A.
- 屋根に設置する場合、4kWシステムでは太陽電池モジュールの設置面積は約25~40m2 、重さは架台などの設置部材を含めて400~550kg程度です。
Q8. どんな屋根に設置できますか?
- A.
- 一般的な住宅の屋根であれば、工法を選べば設置できます。なお、家屋の状況によっては屋根や躯体などの補強が必要な場合があり、設置できない場合もありますので、施工業者にご相談下さい。
Q9. パワーコンディショナの設置場所はどこが良いのですか?
- A.
- 屋外用の場合、直射日光を避け、雨露がかからない場所に設置してください。屋内用の場合は、高温・多湿環境を避けて設置してください。点検スペースはパワーコンディショナの施工マニュアル等に記載されています。
Q10. 設置費用はいくらかかりますか?
- A.
- 太陽光発電システムを設置するには、機器一式(太陽電池モジュール、パワーコンディショナ、架台等)、電気や設置の工事費等の費用がかかります。これらの費用は、設置する条件や工事の内容などによって異なります。
2018年の平均システム費用は、10kW未満の新築設置において32.2万円/kW、1000kW以上の運転開始後の設備からの報告において27.1万円/kWです。(※)
(※)出典:経済産業省 調達価格等算定委員会第40回配布資料(2018年11月8日)
Q11 設置に補助金はありますか?
- A.
- 地方自治体によっては支援制度を設けている場合があります。詳しくはお住まいの自治体へお問合せ下さい。
Q12. 設置する時、届け出の必要がありますか?
- A.
- 太陽光発電設備は発電所であり、「電気事業法」による規制を受けます。必要な手続きは、電気工作物の種類やシステムの出力規模によって異なります。
低圧連系の50kW未満や独立電源システムの50kW未満であれば、一般用電気工作物に該当するので、届け出は不要です。
出力規模が50kW以上2000kW未満の場合は自家用電気工作物となり、経済産業局に保安規定を届け出る必要があります。さらに、2000kW以上の場合には、工事計画の届け出や使用前安全管理審査が必要となります。
発電した電気を固定価格買取制度で売る場合には、太陽光発電設備としての国の「設備認定」を受けることが必要です。また、配電線につなぐ(系統連系)ための相談・申込みを電力会社と行って下さい。
参考資料:知っておきたい関連法規
Q13. 設置方位や設置角度の影響はありますか?
- A.
- 太陽電池を設置する方位によって太陽電池モジュールに当たる日射量は変わるため、発電量も変わります。設置方位としては南向きがベストですが、他の方位に設置することもできます。ただし、北面の屋根に設置する場合、他の方位に比べて太陽電池モジュールの発電出力は少なくなり、条件によっては太陽電池モジュールの反射光が近隣へ影響を与える可能性が高くなりますので、注意が必要です。

-
参考資料: 「太陽光発電システムの反射光トラブルの防止について」
また、設置角度によっても発電量は大きく変化します。
東京における日射量の方位角度、傾斜角度別の関係を下図に示します。1年を通じて最も日射量が大きくなる条件は、真南の方位で約30度の傾斜角度のときと言えます。

Q14. 太陽電池モジュールの反射光は問題になりますか?
- A.
- 近年、屋根の設置スペース等から北面方向屋根に太陽電池モジュールを設置する例も散見されますが、 その際は、近隣住宅に「反射光」が差し込む恐れがありますので、太陽電池モジュールの設置を行う場合には、反射光の影響も考慮する必要があります。
参考資料: 「太陽光発電システムの反射光トラブルの防止について」
非住宅の太陽光発電設備の反射光については、設置する場所により詳しい検討が必要となります。その対応の一例として、下記をご参照下さい。
参考資料: 周辺環境に対する留意(反射光)
Q15. 陰の影響はありますか?
- A.
- 太陽電池モジュールにはなるべく陰が掛からないようにすることが重要です。太陽電池モジュールに陰がかかる場合の影響と対応の一例を示します。
- 1. 薄い陰(山、ビル、樹木、電柱、TVアンテナ等)が太陽電池モジュールに掛かった場合、発電量は低下しますが、周囲からの散乱光によりある程度の発電は行ないます。
- 2. 落ち葉など不透明な物体が太陽電池モジュールの表面に貼りついた場合、その物体の陰による発電量の低下以上に太陽電池の発電量は低下します。長期間その状態が続くと、光の遮蔽された部分の太陽電池モジュールのセルが高温となって特性が低下する「ホットスポット現象」が発生する場合もあります。通常は太陽電池モジュールの内部にバイパスダイオードが取り付けられていますので、この現象の発生が回避する方策が採られています。
参考資料: 「陰の影響について」
Q16. 太陽電池モジュールの汚れによる発電量への影響はありますか?
- A.
- ごみやほこり等が太陽電池モジュールの表面に付けば、発電量は数%程度ダウンすることもあります。日本の場合、定期的な降雨や風で洗い流され、ほぼ元の能力に回復すると言われています。一般の住宅地区ではごみやほこりなどの汚れは降雨で流されますので、安全の面からも屋根に登って日常的な掃除をする必要は殆どありません。ただし、交通量の多い道路の隣接地域等では油性浮遊物が付着し、降雨だけでは流されない場合もあります。平均的な都市部で汚れによる出力低下はおよそ5%以下です。
Q17. 海岸地域でも設置できますか?
- A.
- 塩分による太陽光発電の機器への影響を考慮する必要があります。詳しくは太陽電池モジュールメーカーや設計・施工の業者にご確認下さい。
Q18. 自然災害に対する対策はありますか?
- A.
風・台風:屋根への太陽電池モジュールの取り付け強度はJIS C 8955(※1)にもとづき荷重を計算し、風などの荷重に耐えるように設計されています。
雪害:メーカーより積雪量に応じた太陽電池モジュールや架台、推奨傾斜角度が用意されており、また、積雪量による地域制限が設けられている場合もあります。落雪により周辺の器物等に損傷を与える恐れがある場合は、雪止めの処置等の適切な対策が必要となります。
参考資料: 「太陽電池パネルからの落雪事故防止について」
雹(ひょう):太陽電池モジュールのガラス面はJIS規格(※2)に適合した強化ガラスを使用しており、雹で割れることはまずありません。
雷:太陽光発電システムとしての落雷対策は、回路内に一定性能のサージアブソーバ(避雷素子)等を設置して誘導雷対策を行い、被害を食い止める策をとっています。太陽電池モジュールが直接落雷を受けたという事例は極めて稀であり、一般住宅の屋外に設置されている他の電気機器と同様で太陽電池モジュールが特に落雷を受け易いということはありません。
(※1):太陽電池アレイ用支持物設計標準
(※2)JIS C 8917(結晶系太陽電池モジュールの環境試験方法及び耐久試験方法)では1mの高さから227g直径38mmの鋼球を落下させて、これに耐えることと規定されています。
Q19. 停電時にも電気は使えますか?
- A.
- 住宅用の太陽光発電設備の場合、停電時にはパワーコンディショナの運転は自動的に停止します。自立運転機能付きパワーコンディショナを使用している場合は、昼間で天気が良ければ、非常用の専用コンセントからある程度の電気を使用することができます。

Q20. メンテナンスや点検はどうすればいいですか?
- A.
- 電気設備としての点検が必要です。(※)
定期点検の頻度は以下の通りです。詳しくは各販売業者の営業窓口へお問い合わせ下さい。
電気工作物 | 一設置者あたりの電気容量 | 系統連系区分 | 主な施設 | 点検頻度 | |
---|---|---|---|---|---|
太陽光発電システムの出力容量 | 受電電力の容量(契約容量) | ||||
一般用 |
50kW未満 |
50kW未満 |
低圧連系 |
戸建住宅、小規模な工場、事務所など |
定期点検 4年に1回以上 |
自家用 |
50kW以上 |
2000kW未満 |
高圧連系 |
学校、工場など |
受変電設備:2ヶ月~6ヶ月に1回 パネル及びパワーコンディショナ:6ヶ月に1回 |
- (※)関係法令及び通達 1.電気事業法 2.電気事業法施行規則 3.電気事業法に関連する通達
50kW以上の場合は、主任技術者が保安規定を作成します。
参考資料: 自主ルール・ガイドライン・チェックリスト
Q21. 機器の寿命はどれくらいですか?
- A.
- 太陽電池モジュールは20年以上、パワーコンディショナは10~15年と言われています。パワーコンディショナは設置後10年程度で一度点検し、必要に応じて部品交換や機器の取り換えを行って下さい。
Q22. クリーンな太陽光発電システムも、製造時にはエネルギーを消費しているのでは?
- A.
- 発電設備の製造時にはエネルギーを消費します。この製造時に消費したエネルギー量を、発電するエネルギーで回収できる期間を「エネルギーペイバックタイム(EPT)」といいます。太陽光発電システムのEPTは、結晶シリコン系で1.6~2.5年、薄膜シリコン系で1.1~2.3年程度と言われ、太陽光発電システムのEPTはシステム寿命よりずっと短く、ETP経過後は、クリーンな電気を創出(発電)できることになります。今後の生産規模拡大や発電性能向上でEPTはさらに短くなるものと予想されています。